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兵庫県立いえしま自然体験センタープログラム紹介

プログラム紹介
磯の観察会
磯の観察会のご案内
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★観察会のご案内
・夏休みや休日に適宜開催しています。(干潮時の1時間〜1時間半)
・開催日以外でもご希望の方は事務所にお申し出下さい。
・専門指導員がご案内いたします。
・参加費は無料です。
   (写真 左:観察会の様子1、中:観察会の様子2、右:観察マップ)

 毎日毎日繰り返される潮の満ち干、加えて照る日雨の日、暑い日寒い日・・・変化の激しい過酷な環境をうまく利用して海辺の生き物たちは生活しています。その住みかは岩の表面、隙間やくぼみ、石の下や砂の中・・・など多岐にわたっています。それぞれ環境に適応した形で分布を広げています。海辺は不思議な生き物でいっぱいです。浜に出てその生活をのぞいてみましょう。

☆磯観察のしおり
 上記「観察マップ」の生物達を以下に解説します。観察の参考にしてください。番号数字はマップ中の生物番号と対応しています。無番号の生物名も合わせ参考のため載せています。(文責:丹下)
1.ミズクラゲと2.アカクラゲ
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 沿岸性の普通に見られるクラゲ2種です。波間に漂う寒天質の浮遊性動物(遊泳性に乏しいのでプランクトン)です。1.ミズクラゲ(写真左)は傘を通して4つの生殖腺が透けて見えるので別名「よつめ」とも言われ、短い触手が傘縁に無数に並ぶ。時には潮の流れや風などでなどで集まり、大群となることがあります。これによる漁業妨害や火力発電所の運転停止などの被害を与えることがあります。2.アカクラゲ(写真右)は傘の赤色の筋模様が特徴で、長い触手をもっています。触手の刺胞毒が強いので触らぬよう注意が必要です。(刺胞動物・鉢虫綱)
3.タテジマイソギンチャク
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 潮間帯の岩場の狭い隙間などで普通に見られる小型のイソギンチャクです。干出閉口している時オレンジ色の縦じま模様が特徴です。潮が満ちてくると触手を出してプランクトンを食べます。足盤で付着していて移動もします。(刺胞動物・花虫綱)
4.ヨロイイソギンチャク
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 潮間帯下部の岩場で見られる大型のイソギンチャクです。体上部はイボイボで干出時には小石や砂粒を着けて閉口しています。多数着けているときは見つけにくく、鎧をまとっているという意味からこの名がついています。潮が満ちてくると触手を伸ばしプランクトンを食べます。足盤で付着していて移動もします。(刺胞動物・花虫綱)
クロイソカイメンと5.ダイダイイソカイメン
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 岩礁に広がり固着しています。特定の形をしておらずとても動物には見えませんが最も原始的な多細胞動物です。潮が引くと岩の斜面、海藻の間に群生しているのが見られます。
 クロイソカイメン(写真左)はやや上部に分布し地味ですが、5.ダイダイイソカイメン(写真右)は下方に多く分布し、鮮やかな橙色で目立ちます。(海綿動物・尋常海綿綱・イソカイメン科)
6.ヒザラガイとケハダヒザラガイ
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 6.ヒザラガイ(写真左)は足が小判型で潮間帯の岩上で普通にみられます。動きは不活発で、強く付着しており無理にはがすと腹側に丸くなります。この様子から「膝皿貝」と呼ばれる。殻は8枚の殻板に分かれている。数は少ないが殻板が小さい楕円型の足のケハダヒザラガイ(写真中)も見つかります。
 ヒザラガイの口器にある歯舌が磁石にひっつきます(写真右)。鉄の歯を持った生物?って不思議・ふしぎ!(軟体動物・多板綱)
7.マツバガイとその仲間(カサガイ)
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 7.マツバガイ(写真左)は殻に放射状の筋のある比較的大きい笠形貝です。潮間帯の岩場で普通に見られ結構動き回ります。他にアオガイ、ベッコウカサガイ(写真中ー上と下)、ウノアシガイ(写真右)などのカサガイの仲間が見らます。(軟体動物・腹足綱)
8.オオヘビガイ
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 潮間帯の岩場や石などにとぐろを巻いて固着している貝です。管状で一定の形を持たない巻貝で不規則にくねります。殻口にはフタはなく潮が満ちてくると粘液をクモの巣のように出し水中の有機物やプランクトンなど絡め取ります。(軟体動物・腹足綱)
9.タマキビガイと10.アラレタマキビガイ
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 両種とも高潮線上部の飛沫帯の岩の割れ目などに分布し、混在することが多い。乾燥、高温耐性が強く水を嫌う。試みに水に入れるとはい出してくる。
 9.タマキビガイ(写真左)の方が殻高1.5cm程度で大きく、殻表に細くするどいうねがある。アラレタマキビガイ(写真右)は1cm以下と小さく殻表の筋(螺肋)は顆粒状。(軟体動物・腹足綱)
11.イボニシ
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 潮間帯の岩場で見られるイボイボの巻貝(写真左)。フジツボやカキなどを食べる肉食性です。各地の磯で採集できることから環境ホルモン(内分泌攪乱物質)の調査生物に使われる(影響を受けるとメスがオス化する)。
 レイシガイによく似ていますがこちらの殻口は橙色です(写真右ー右)がイボニシの方は黒色です(写真右ー左)。(軟体動物・腹足綱)
12イシダタミと13スガイ
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 イシダタミ(写真左)は潮間帯の岩場で見られる足早の巻貝。殻表の彫刻が石畳様で美しい。ゆるい斜面では海面上部を上下する。殻はヤドカリによく利用される。
 スガイ(写真右)は潮間帯下部の転石の隙間で見られ緑藻に被われた殻が特徴の巻貝。模様のある厚いフタを持つ。着生する緑藻はカイゴロモでこの殻表面でしか生育できない(片利共生)。(軟体動物・腹足綱)
14イソガニと15ヒライソガニ
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 イソガニ(写真左)は岩礁の隙間などで普通に見られるカニで水のきれいな環境を好む。足音などに敏感で近づくとすぐ逃げなかなか捕まらない。甲の色彩変化はない。
 ヒライソガニ(写真右)は磯のごく浅いところに棲むカニで潮がひくと石の下などにじっとしている。甲の模様が各個体変化に富む。稚ガニでは前者との区別が難しい。(節足動物・甲殻綱)
16スナガニ
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 砂浜の満潮線付近に深い穴を掘って棲んでいるカニ。夜行性で日中の活動は見られない。40-50cmほど穴を見失わないように掘り下げると穴底にいる。逃げ足の早いカニ(写真左:掘って捕まえたカニ、中:逃がしたら砂の窪地に身を潜めた、右:砂浜の巣穴)。(節足動物・甲殻綱)
17アカテガニ
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 森に棲むカニで小径でよく出会う。夏の夜の満潮時に抱卵雌ガニは海に出て幼生を放出する。ゾエア→メガローパ→稚ガニと育ち海を離れて森に向かう。オス(写真左)の方がメス(写真右)より鉗脚(はさみ)が大きく赤みも強い。(節足動物・甲殻綱)
18イソカニダマシ
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 カニ(短尾類)ではなくヤドカリの仲間(異尾類)です。@鉗脚の可動指が逆つき、A第2触角が長い、B第4歩脚が退化している。などを観察してください。干潮時石を返すと素早く逃げる小さなカニで平べったく体に似合わず大きな鉗脚をもっています。(節足動物・甲殻綱)
19イワフジツボと21カメノテ
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 イワフジツボ(写真左)は潮間帯上部の岩場に固着分布する小型のフジツボで長時間の乾燥や長雨にもよく耐える。潮が満ちると蔓脚を出しプランクトンを捕らえる。幼生期(自由生活期)に分布を広げる。
 カメノテ(写真右)は潮間帯の岩の割れ目に固着分布し、「亀の手」を思わせる。体は大小30枚ほどの殻板に被われた頭部と鱗片に被われた柄部に分かれる。潮が満ちると蔓脚でプランクトンを捕まえる。幼生期(自由生活期)に分布を広げる。
 まったく異なる形の2種ですがエビやカニと同じ仲間です。(節足動物・甲殻綱)
20ケガキとマガキ
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 ケガキ(写真左)は潮間帯上部の岩場に多数固着しているトゲトゲ殻のカキです。観察時怪我をしやすいので注意をしてください。干出、低塩分によく耐える。
 マガキ(写真中)は潮間帯下部に棲息する。栄養状態がよいと大きくなることから各地で養殖されている。いずれも幼生期(自由生活期)に分布を広げる。(軟体動物・斧足綱)
☆(写真右)は次項「ヒトデの仲間」の22モミジガイです。
ヒトデの仲間
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 ここの海岸でよく見られるヒトデ4種を紹介します。腕が5本の放射形が基本です。
 22モミジガイ(前項の写真右):砂浜に棲むモミジ葉形をしているヒトデで体色が紫〜橙色の変化に富んでいる。昼間は砂に潜っていることが多い。
 23イトマキヒトデ(写真左):岩場に棲む暗青緑色地に鮮やかな赤色斑がある糸巻き形をしているヒトデで岩場に棲息する。
 24マヒトデ(写真中):大型のヒトデで体色が黄色〜紫色の変化に富んでいる。特にアサリなど有用二枚貝類を多く食害するので駆除される嫌われ者です。岩場〜砂地のいずれにも棲息するヒトデの代表種です。
 25ヤツデヒトデ(写真右):磯で石を返すと見つかります。橙色の帯状斑点があり通常8腕です。自切しやすく腕長のそろった個体は少ない。また個体によっては腕の数が多い、少ないがあります。  (棘皮動物・ヒトデ綱)
ウニの仲間
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 26ムラサキウニ(写真左):岩の上や隙間に普通に見られる紫色のイガ栗形のウニで食用になる。夏期が産卵期で発生実験によく使われる。ウニの口器を「アリストテレスのちょうちん」といい海藻を噛み砕く構造になっている。
 27バフンウニ(写真中):岩の隙間で見られる馬糞形の茶色の小型ウニです。食用ウニとして美味しい方。春先が産卵期で発生実験にも使われます。
 29ハスノハカシパン(写真右):ウニをぺちゃんこにした形です。腹側が「蓮の葉」模様になっています。砂地に棲むこの仲間をカシパン(菓子ぱん)といい大型のスカシカシパンやタコノマクラなども見つかります。  (棘皮動物・ウニ綱)
28ヤドカリ
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 腹部は右側に曲がり利用する巻貝の管に沿うようになっている。鉗脚(はさみ)と2対の歩脚があり、後方の2対は未発達で短い付属肢となっている。成長すると大きな貝殻へと宿替えをする。写真はホンヤドカリ、利用している貝殻はスガイ。
  (節足動物・甲殻綱)
30フナムシ
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 海岸に棲む陸上生活者で群れて歩き回る。漂着ゴミや付着生物などをあさる浜の掃除屋です。卵胎生で直接仔虫を産む。泳げるが水にはいることを嫌う。脚は7対。その姿、行動からゴキブリを思わせ嫌う人もいる。
  (節足動物・甲殻綱)
アメフラシ
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 つつくと紫色の汁を出し、海中でこの濁りが雨雲を連想させ「雨降らし」の名がついています。岩礁や海藻の中で見られ超大型ナメクジのイメージです。アオサなど海藻を好んで食べます。春によく見られる「うみぞうめん」はこれの卵塊です。ラーメンといった方がピッタリのイメージです。背中を触ると硬い部分がありますが貝殻の痕跡です。雌雄同体です。なお海藻にも「ウミゾウメン(紅藻類)」がありこちらは食用になります。混同しないように。(写真左:交接中→後ろの小個体がオス役、中:うみぞうめん、右:ふ化直後のベリジャー幼生→巻貝です)  (軟体動物・腹足綱)